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igglepiggleのロンドン備忘録

MBA留学中に感じたことをつらつらと

AIと私 part 1

最近ちまたでは人工知能ブームである。
僕もミーハーながら今年の始め頃から注目している。

メディアで取り扱われることも最近は多いが、僕が興味を持った直接的理由は以下の2つ
  • GoogleのAlphaGOがトッププロ棋士に勝った。(なんちゃってではあるが)囲碁をちょっと齧っていて、コンピューターとトッププロにはまだまだ差があると知っていただけに衝撃が大きかった。
  • ちょうど子供が産まれ、子供が新しいことを学んでいくのを目の当たりにして、人工知能が学習する過程が非常に身近かつ興味深く感じられた。

まだ関連する本を2、3冊読んだ程度の素人なので見当違いのこともあるかもしれないが、いま時点での理解と考えていることを少し書いてみたいと思う。

人工知能の定義
人工知能を定義することは実は意外と困難で、世の中での使われ方も、時代によっても変わるし、今だけで見ても定まってはいない。
僕の理解では、①人間にしかできなそうなことを②人間と同じような思考回路で行うコンピュータということかなと思う。

前者に関しては、例えば以前はOCR(紙に書かれた文字を認識してデジタル化すること)が人工知能だと言われていた時代もあったらしいが、今ではOCRは機械ができることが当たり前になって誰も人工知能だとは呼ばない。
後者に関しては、例えばオセロやチェスで人間に勝っても、全通りの可能性を虱潰しに探索して打ち手を見つけるのでは人工知能「っぽくない」。

最近流行っている理由
他にも色々あるのだろうが、とりあえず以下の2つが大きいようだ
  • ディープラーニングという手法の確立
  • 学習のためのデータ取得のハードル低下

一点目のディープラーニングという手法はニューラルネットワークの一種で人間の思考回路に近い(ように見える)ので、前述の「人間と同じような思考回路で」という部分に引っかかって人々の琴線に触れているのだと思う。
ディープラーニングと従来の機械学習の違いをとても大雑把にまとめると以下のような感じだと思う。

これまでの機械学習
  • インプットは主に人間が構造化したデータ。何のデータを使うかは人間が予め選択
    • 例えば顧客が不払いを起こしそうか?ということを判断するためには、年齢、年収、職業、住んでいる地域、等をデータとして与えるが、「髪型」はデータとして与えない

ディープラーニング
  • インプットは人間が構造化してない(人間の恣意性が入っていない)「生」のデータ
    • 画像(色つきのドットの集合体)、音声(波形のデータ)など
  • 学習の過程で自分で判断のための特徴を抽出する
    • 例えば画像に猫が写っているかを判断するために、「耳の形」、「眼の色」、「ひげがある」、などが手がかりになるということを自分で学ぶ

二点目については言わずもがな。特にディープラーニングの活用が画像認識と音声認識で進んでいるのは、ひとえにインターネット等のデジタル媒体で画像と音声の生データが容易に大量に手に入るからだと思う。

何に使えるのか
ディープラーニングが人間と同じようなインプットと思考回路を使うということからして、人間が今やっていることを代替するというのが素直な発想。
特に、学習の範囲が狭くて明確な方がコンピューターが相手しやすいので、専門的なことの方がやりやすそう。
「これまでの機械は主にブルーカラーの仕事を代替してきたが、AIはホワイトカラーの仕事を取ってしまう」と言われているのはこれがゆえ。
例えばコールセンターやCT等の画像からの病気の判断、弁護士の業務なんかは随分AIが活躍しやすそう。

個人的今後の注目ポイント
今人間がやっている「処理」の部分がAIにとってかわられるとすると、機械に学習のタネを提供することの重要性が増しそう。
例えば研究的なところでいうと
  • 人間には5感がある。視覚、聴覚以外の情報(味覚、嗅覚、触覚)をどういう形で表し、どうやって蓄積していくのか
    • 味覚DBができたら、食品メーカーは美味しいものをもっと体系的に作れるだろう
  • 5感は独立していない。音声と画像などのマルチモーダルな情報をどのように組み合わせて学習させていくのか
    • 美味しい料理の判断は5感の組み合わせ。猫を認識するためには姿だけではなくて鳴き声も重要
などが気になる。

もう少しビジネス寄りのところで言うと、今企業では以下のようなことを考えているが、
  • 自社の業務のどこを内製すべきか、どこは外注(例えばインドのIT企業にとか)すべきか
  • 工場でどの部分はオートメーションにして、どの部分は手作業でやるべきか
これと同じようなレベルで
  • どの部分はAIに任せ、どの部分は人を雇ってやるべきか
といった議論が行われるのもそう遠い話ではないのではないかと思う。
20年後にはCorporate Strategyの授業でAIに関するケースが出てきてもおかしくない。

あとは月並みだけど変革期にはビジョナリーが求められる。
今人がやっていることの代替とだけ言うと大した変化がなさそうだが、そんなことはない。
あることのコストが20%減っても業界はそんなに変わらないが、1/10、1/100になると根本からビジネスモデルが変わる/生まれ得る。
  • 携帯の費用対通信速度が圧倒的に上がったことでスマホという存在ができた
  • もし宇宙飛行のコストが1/100になれば宇宙旅行は一つの産業になるだろう
  • AIで通訳ができるようになれば、これまで1時間万円単位でかかったものが変動費ほぼ0でできる。インパクトは通訳業だけでなくインターナショナル企業のあり方や国と国との関係にまで影響するだろう
こういった変化を予期し、創造していくことはコンサルという立場でも重要になってくるのではないか。

ということでもう少し継続的にAIについてはフォローしていきたい。